前回はそっち属性のない人でも楽しめるボーイズラブ漫画を紹介したので、今日はバランスを取る意味で対極を引っ張り出してみよう。お手頃なガールズラブ漫画『ストロベリーシェイクSWEET(一迅社/林家志弦)』である。
ストーリー自体はあって無きがごとし。芸能プロダクションに所属する16歳の売れっ子アイドル(♀)が、見習いとして入ってきた同年代の女の子にひとめ惚れ。そんな少女の悶々とする日々、そしてスレスレな愛情表現を描いたコメディ作品だ。
いちおう分類上はコメディ漫画として扱われることが多いが、中身はほぼ全編にわたってハイテンションなギャグが繰り広げられる。意中の相手が泊まりに来るのを想像しただけで鼻血を吹き出す主人公、同性しか愛せない女性アーティストが集まったビジュアル系バンドの名は「ZLAY(ズレイ)」。今のところ登場する女性キャラは1人を除いて全員同性愛者。男性キャラにいたってはロクに名前すら用意されていないという大胆さ。……もう徹底した「オンナ最高! オトコいらねー!」路線が何というか、いっそ清々しい。
作者の林家志弦は個人データに乏しいものの、1980年代からゲーム業界で活躍してきたベテラン。そのあたりから現在は40代前後かと思われる。公式サイトの日記で一人称が「婆」となっているあたりからも、決して若手ではあるまい。
だが作品を読んでみれば分かる通り、とにかくこの人が描くドタバタ劇は毎回エネルギッシュ。パワー溢れる独特のセリフまわしも秀逸である。安永航一郎・田丸浩史の言語感覚にピンと来た人は、この作風がきっとツボにハマるはず。掲載誌(コミック百合姫)で看板漫画のひとつになっているのも納得できる。なにげに中毒性が高いのだ。
百合系ジャンルのわりにきわどい描写はないため、購入する勇気さえあれば男女を問わず存分に楽しめる作品。そんな意味ではガールズラブの世界を知る入門用にも最適といえるだろう。難点をいえば掲載誌が季刊発売ゆえ、続きの単行本が出るまで2年以上も待たされるということか。
なお、より一般寄りな作品を望むなら、同じ作者の『はやて×ブレード』を読んでみるといい。こちらは「剣待生」という特殊な制度をもった学園で繰り広げられるチャンバラアクション活劇。作者のギャグセンスはここでも遺憾なく発揮され、読んでいて元気が出ること請け合いだ。
■rokuによる独断評価(5つ☆が満点)
画力 :☆☆☆
物語 :☆☆☆☆
独創性 :☆☆☆☆
総合評価:☆☆☆☆



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