マンガ好きライター陣が執筆する日刊マンガ(漫画)ニュース&レビューブログ!
   
2007年12 月23日

12月12日に発売され、『さよなら絶望先生』特別編などで話題になったマガジンドラゴン誌がいきなり苦境に立たされている。

新人漫画家の描いた10作品から読者が選んで投票し、見事1位に輝いた作品は週刊少年マガジン本誌の掲載権を得られる企画「ドラゴンカップ」参加作において、盗用の事実が明らかになったというニュースだ。

今回問題になったのは10作品のうち、エントリーナンバー3にあたる『メガバカ』。作者は新人の豪村中。すでに作者自身が盗用の事実を認め、同作は読者投票の対象から外された。出版元の講談社は今月21日から、自社サイトにて正式な謝罪文を掲載している(※一定期間後に削除される可能性があります)。

この『メガバカ』は、人気漫画の絵を上からそのまま透かして複写する「トレース」という手法で盗用が行なわれた模様。本来トレースは、作者が取材で撮影してきた風景写真を作品のバックとして転写するなど、作業効率をアップさせる正当な目的で使われてきた。

ところが今回の問題作では『デスノート』をはじめ、『多重人格探偵サイコ』『みたむらくん』『エア・ギア』など、よりにもよってメジャータイトル中心に多量のキャラクター・構図自体をトレース。掲載された36ページのうち、ほぼ全ページにおいて盗用が確認された。ネット上には実際の画像を使って比較する検証サイトも登場し、どの部分がトレースによる盗用なのか確認することができる。

講談社にしてみれば

・創刊一発目から盗用事件
・しかも目玉企画の第1回エントリー作品
・新人漫画家に民事訴訟しても、損害額の回収など期待できない
・外部への建前上、関係者の処分や今後の予防策について発表する必要がある

といった具合に、まさに踏んだり蹴ったりと言えるだろう。
(自らの管理の甘さが招いた不祥事でもあるが……)

発端になった漫画家本人の将来に興味はないが、講談社の「中の人」たちに対しては一定の同情を示したい。

ちなみに漫画家の盗用といえば、2005年に発覚した末次由紀による「スラムダンク盗用事件」が記憶に新しい。事実を認めた作者は当時掲載中の『Silver』を打ち切られ、過去作品まで含めて絶版になるという厳しいペナルティが課せられた。この時も講談社が謝罪しているのを考えると、つまり2年前の教訓は今回の一件に生かされなかったということだろうか。

とはいえ漫画作品がこれだけ出回っている現在、ネームまたは原稿の段階で編集者が盗用の有無まで100%チェックするのは無理があるのも事実。ならばせめて漫画家との契約書類に「盗用時の賠償予定額」を含めて明記し、多少なりともプレッシャーを与えておくべきだと思う。

また、「どこからが盗用なのか?」「盗用の定義は?」という漫画家の疑問に答えるため、大手出版社が合同でガイドラインを作成しておく選択肢もある。そうでもしておかなければ、同じような盗用騒ぎが今後も起こっていくだろう。業界全体の前向きな取り組みに期待したい。

なお、問題となったマガジンドラゴン誌の表紙イラストを描いたのは皮肉にも『エア・ギア』『天上天下』など、『ショコラ』や『デスノート』と並んで最も多く今回の盗用に使われた漫画の作者・大暮維人であった。

投稿者:roku
 
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