末弥純 原画展『the Works』8月16日から開催!(2)
末弥純 原画展『the Works』8月16日から開催!(3)
ゲーム『ウィザードリィ』のキャラクターや小説『魔界都市ブルース』『グイン・サーガ』のイラストで知っている人も多いだろう。イラストレーター末弥純の第5回原画展が、8月16日から東京・青山で開催されている。

末弥純 原画展『the Works』
~氏の本質に迫る~
■開催概要■
【会期】2008年8月16日(土)~9月7日(日)
【営業時間】11:00~18:00(会期中無休)
【会場】GoFa
(幻想画廊:Gallery of Fantastic art)
【住所】東京都渋谷区神宮前5-52-2
青山オーバルビル2F左ウイング
【入場料】500円(コーヒーチケット付き)
小学生以下無料
【主催】GoFa
(幻想画廊:Gallery of Fantastic art)
■末弥純の軌跡-1980年代
さて、まず末弥純の略歴を振り返ってみよう。
末弥純のデビューは1983年、『銀河の聖戦士 Part2 銀河十字軍』(田中光二著/トクマノベルズ)のカバーイラスト。SF作品だが、舞台はヒロイック・ファンタジーの世界だ。
(※文庫版は、星恵美子がカバーを描いている)
そして1986年7月、菊地秀行『魔王伝1』のカバーと挿絵を手掛ける。この後、『魔王伝2』『魔王伝3』と次々と描き上げ、別のイラストレーターによる『魔界都市ブルース 1 妖花の章』のカバー・挿絵の描き直しを含めて、『魔界都市ブルース』シリーズの新書と文庫ほぼ全てを担当。「秋せつらとメフィスト(せんべい屋と魔界医師、でも可)は末弥純だよね」というイメージをつくりあげた。
(※なお、菊地秀行作品関係の情報は『魔界都市新宿きくちファン通信』の「作品リスト」及びAKAEの蔵書を参考に書かせていただきました。)

そして末弥純の真骨頂は、1987年12月に発売されたロールプレイングゲーム『ウィザードリィ』のファミコン版モンスターデザインを担当してから花開いたといえる。
『ウィザードリィ』は「テーブルトークRPG」+「指輪物語」+「神話のパロディ」+「モンティ・パイソン」(『POP-SITE』の「末弥純画集 ウィザードリィ」に関するコラムから抜粋)というあまり日本に馴染みのない内容であった。末弥純によって描かれたイラストは、神秘的かつ魅力的で存在感に溢れ、剣と魔法とモンスターの闊歩する地下迷宮のイメージを、十二分に補ってくれた。このゲームが日本に普及し、2000年を越えた今でも新作を望むファンが多いのも、氏のイラストあってこその人気といえるであろう。
(※順番でいうなら、末弥純がモンスターデザインを担当した『ウィザードリィ』は、ファミコン版よりもMSX2版の方がちょっとだけ発売が早い。が、人口に膾炙したのはファミコン版の方といえる。)

この他にもS-Fマガジン(1986年11月号)に掲載されたウイリアム・ギブスンの『記憶屋ジョニイ』(日本語訳)の挿絵を担当している。このイラストは「ギブスン自身がとっても気に入ってる」とのことで、かの名作『ニューロマンサー』に登場する殺し屋・モリィのデザインに影響を与えている。サイバーパンクと呼ばれるギブスンの作品群抜きでは、『Akira(アキラ)』 や『攻殻機動隊』を語れない事実を考えると、末弥純の存在がマンガ界に及ぼした影響はかなり大きいということになる。
(※ギブスンの発言のニュースソースは『小谷真里エッセイ』の「 ワシントンファンダムに会った日」)
■末弥純の軌跡-1990年代
もちろん『魔界都市ブルース』シリーズや『ウィザードリィ』のヴィジュアル・デザインといった仕事は、90年代に入ってからも続いている。
その他には朝松健の『魔術戦士』シリーズ(大陸書房版)や、水野良が監修する『クリスタニア』シリーズ、嵩峰竜二『雷の娘シェクティ』シリーズのカバーと挿絵を手掛けたり、雑誌「LOG OUT」での挿絵とコラムを担当したり。
しかしなんといっても大きかったのは、1997年から栗本薫『グイン・サーガ』のカバー・挿絵を引き受けたことではなかろうか。6月発行の『外伝10 幽霊島の戦士』を皮切りに、グイン・サーガ三人めの絵師として、正伝57~87巻、外伝10~16巻の37巻分を担当。この交替は、初代絵師・加藤直之の重厚な油絵調の表紙を切望していたファンには、たいへん好意的に受け取られた。
■末弥純の軌跡-2000年代

2002年12月発行の『グイン・サーガ87 ヤーンの時の時』まで描き続けたイラストは、『末弥純 グイン・サーガ画集』としてまとめられ、早川書房から2003年9月に出版されている。
この他にも、2001年『末弥純画集 魄—199010-200101』、2004年『末弥純画集 烈妖月』、2006年『末弥純画集 ウィザードリィ』といった画集が次々に刊行されている。
また、2004年1月からは、今回の原画展『the Works』と同じ青山のGoFaにて、原画展を積極的に開催。2000年代に入ってからの末弥純は、いったん画業の集大成に入っているのでは、などとも思ってしまう。
氏はこの先いったいどんな絵を描こうと
しているのだろうか…?

…余談だが、『魔界都市ブルース(マンサーチャー・シリーズ)』の挿絵は、2007年、末弥純から小畑健に替わった。小畑健は『CYBORGじいちゃんG』の頃から好きなマンガ家のひとりだが、この変更はちっともちっとも嬉しくない。昨今「小説の挿絵を人気マンガ家に描いてもらって部数を伸ばす」という流れがあるのは承知しているが、『魔界都市ブルース』の魂をそのまま具現化したイラストの末弥純を交替させるのは!いかがなものかと!やり場のない憤りを感じてしまうのだ。


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