

中学時代は部活に燃えていた晴菜。高校では恋にすべてをかける!
明るく元気なヒロイン・晴菜と、彼女の「モテコーチ」を引き受けた小宮山ヨウの恋愛模様を描いた『高校デビュー』のコミックス最終巻となる第13巻がいよいよ12月25日に発売されます。
それを記念して、Mangaspiritsでは『高校デビュー』のノベライズを手がけた倉本由布先生にお話を伺いました。
コバルト文庫で活躍中の倉本先生が語る『高校デビュー』の魅力、そして小説技法とは!
倉本由布(くらもと・ゆう)プロフィール
6月14日生まれ。
1984年『サマーグリーン/夏の終わりに…』にて第3回コバルト・ノベル大賞に入選。当時最年少の高校生作家としてデビュー。
その後『恋は風いろ不思議いろ』『天使のカノン』などの恋愛小説を手がけ、『夢鏡(ゆめのすがたみ) 義高と大姫のものがたり』『鎌倉繁盛記<一>海に眠る 義高と大姫』などのシリーズではコバルト文庫における歴史小説のさきがけとなる。
――デビューは高校生ということでしたね。
そう。高校二年の四月。受賞の連絡をもらったのは一年のときでした。受賞が決まったとき、友だちに電話で話したら次の日には学校中に広まっちゃって。登校したら、窓から身を乗り出して「来た来た~!」とかって騒がれたり、黒板に大きく書かれちゃったり。
――まさしく『高校デビュー』ですね。ちょっと意味は違うけど(笑)。先生はなんて?
女子高特有のノリだったかもしれませんね。先生もみんな知ってて、最後まで言ってくる先生は何かしら言ってきました。卒業するまでず~っと。それがなぜか数学の先生なんです。国語の先生にはほっとかれました(笑)。数学の成績はあんまりよくなかったのに不思議だったな~。
――以後、コバルト文庫を中心に活躍されて来たんですね。『高校デビュー』をお読みになっての感想は?
すごくおもしろかったです! 仕事を忘れて大爆笑しちゃうくらい。
一番楽しかったのは特にノベライズの最後のエピソードの原作の部分。もう絶妙ですね。脂がのってるって感じ。あのおもしろさを文章で表現するのは大変でした。
――晴菜が 新入生に注目されて…というところですね。書きやすかったところと書きにくかったところは?
すごく難しい部分と、書けたら楽しいなと思う部分は実は一緒だったんです。それはテンポ。
漫画ならではのテンポをどうやって文章にするか、そこに一番神経を使いました。
漫画を冗長にするのは簡単なんだけど、テンポを生かすのはすごく大変なんです。会話をうまく生かしながら短い言葉で状況の説明を挟みこみつつ、リズムをつけて畳みかけなくてはならないから。
今の少女漫画はモノローグが多いでしょう? 一人称小説にするなら書きやすいんですよ。モノローグを引っ張ってきて、地の文を入れて。
でもこの『高校デビュー』という作品はモノローグに頼らない漫画なんです。絵と技術……演出で見せるというオーソドックスなつくり。だから、逆にこっちがモノローグを入れなきゃいけない。
でも、入れすぎるとテンポを崩してしまうし、それぞれの読者が頭の中で受け取るイメージがあるはずでしょう。それを私が文章で断言しちゃっていいのか? とか、そのあたりは苦心しましたね。
ただし一回それを体得してしまってからはすごく書きやすくなりました。このあたりは原作の漫画を読んで読み比べてもらうとおもしろいと思います。
――好きなキャラ・嫌いなキャラは?
好きなキャラはね、麻美ちゃん!(断言)
ちょっと変わった子が大好きなので、彼女は愛情いっぱいに書きました。
ああいう子って、変な書き方すると嫌われかねないでしょう。小さい読者さんは、晴菜にちょっとイジワルするときとか読むと「この子イヤ。嫌い」って思ってしまうかもしれない。そうならないように気を遣いましたね。
あとはヨウの元カノ。嫌いな人は嫌うキャラだと思うんだけど、私はおもしろかったです。「こういう子っているよね~」って思って。
嫌いとか、苦手なキャラというのはいません! どの子もみんな可愛いです。
このお話って、キャラクターの役割分担がとてもキレイにできているんです。だから、文章で再構築をするときもやりやすかった。
キャラクターのね、配置が絶妙なの。あれは計算して描けるものじゃないですね。ある意味で職人漫画。でも心が入っている。技術がないと書けないし、技術だけでも書けない。すごいと思います。
書き手として気を遣ったのは、敢えて言うならヨウかな? 彼は読者からも人気を集めるキャラなので、カッコよく魅力的に書かないといけない。そこが苦心したといえばいえるでしょうか。
でも、実際に書くときは彼の目に頼ってました。彼はバランスの取れた人なので、彼の視点を大事にするとお話が落ちつくんです。
小説を書くときって、常に主人公に視点を入れているわけではないんです。そういうとき、誰に自分を置いているかといったらヨウに置いていた。晴菜を描くときでも、彼女に感情移入するのではなくてヨウの視点から見ていたことが多かった気がします。
――事件を持ちこむのっていつも晴菜で、ヨウはいつもそれに巻きこまれる形ですものね。
若い読者さんから見るとヨウはヒーローだけど、私から見ると抜けてて可愛いし、けっこう弱い部分もあるんです。
「モテコーチ」なんてそもそも面倒でしょ? 恋愛に臆病になってて、面倒なことやイヤなことは避けてきたヨウに、晴菜が次から次へと、しかも自覚ナシにトラブルを持ちこんでくるから、解決せざるをえなくなっちゃう。でもそれによってヨウも成長していくんです。そもそも「モテコーチ」を引き受けちゃう時点でヨウもいい人ですよね(笑)。
――倉本さんが考える『高校デビュー』の魅力とは。
キャラクターが可愛くて、単純に笑える。もうその一言につきます。
お話はきちんと段階を踏んでて、巻を重ねるに連れて晴菜とヨウの関係が深まっていくんです。一見オーソドックスなつくりなんですが、お約束の中で、でもどこか外してる。ボタンを一個かけ違えてるっていうのかな。そこがこの作品の魅力ですね。
たとえば、元カノ登場といったら、普通だったら嫉妬したりうじうじ泣いたりもっとせつない話になりそうでしょ? それが晴菜とヨウだとあさっての方向にいっちゃう。「ど~してそうなるの!?」という話になるので楽しんで読めるんです。
「自分だったらこうするな」という展開とは正反対だから、その点ではわかりやすかったかも。
――読者からの反応は。
読者が小・中学生の若い読者さんが多いので、いただくおたよりも可愛い内容が多かったです。
みんなヨウが大好きで、このお話が大好きで、っていうのがすごく伝わってきました。
あと、一つ印象に残っているのが「学校で話題になってるけどうちはお母さんが『漫画はダメ』っていうから読めなかったのを『小説ならいいわよ』って許してもらった」とか。
「お母さんこの漫画は大丈夫、安心して読めるから許してあげて」って思いました(笑)。
――ありがとうございました。では、最後に一言お願いします。
『高校デビュー』は若い読者さんはもちろん楽しめるし、大人が読んでもまた違った魅力がある作品です。悩みがあるとき単純に笑ってスカッとすることもできるし、深読みしようと思えばそれも可能。いろいろな楽しみ方ができる作品ですので、原作・ノベライズともよろしくお願いします!
倉本由布先生のノベライズ版『高校デビュー』は既刊6巻で、原作のコミックス10巻までのエピソードを扱っています。
『恋の告白されちゃいましたっ!?』編は書き下ろし&別冊マーガレットのケータイサイトにて連載されたマンガにはない、小説オリジナル・ストーリー。ぜひ原作とノベライズ作品、両方読み比べてみてくださいね!
また『別冊マーガレット』9月号から始まった河原和音さんの最新作『青空エール』の1巻も『高校デビュー』最終巻と同じ12月25日に発売されます。こちらもお楽しみに!




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