そろそろ2008年も折り返しを控え、各社の漫画雑誌ではリニューアルおよびテコ入れが進んでいる様子(ヤンサン休刊という悲しいニュースもあったが)。
そして、『バンブーブレード』のアニメ化などで好調のヤングガンガン誌上では怒濤の“5号連続新連載”企画が進行中。現在発売されている12号で新連載攻勢のトリを飾ったのは『ダンセイリキガク』なる作品である。
タイトルからすると理系ちっくな香りのするラブコメに見えるが……作者が大和田秀樹という点から内容を察してほしい。
第一話を読んだ限り、主役は大学2回生の女の子・ゆい。ただし彼女は主役といっても読者視点の代行者なので、実質的な主人公はメガネ&白衣の知的な先輩・斉藤(♂)といえるだろう。
ゆいは研究室に入って初対面の斉藤に淡い好意を抱くのだが、これが実は大きな罠。この男、自らの聡明な頭脳と研究室のスパコンを駆使してアイドルの乳揺れを解析するようなとんでもないヤロウだった。まさに身分とIQは秀才研究者、中身は小学生男子である。
さらに斉藤は、新歓の飲み会でハメを外して生まれた姿のまま車道へ飛び出し、車にハネられ新聞沙汰になる見事なダメ人間っぷりを披露。さすが大和田クオリティ。連載スタートから期待に違わぬハジケ方です。
読んでいて思うのだが、大和田作品のキモには“○○なのに××”といった意外性があるように感じる。過去作でいえば“高校球児なのに火星人と政治交渉”――とか。どうやら今回も“イケメン秀才なのに小学生レベル”的なノリで行くつもりらしい。
ちなみに作者の大和田は東北大学工学部卒と、なにげに高学歴。いままでアカデミックな舞台の作品がなかったのが逆に不思議なくらいだ。その経歴を生かしつつ、どこまで偏差値の高いおバカさんたちを繰り出せるか(いい意味で)楽しみにしたい。
年末年始は引きこもる気満点。なので本日、書店へ漫画の買い溜めに走ってきた。今回はその収穫物から1作品、『野獣社員ツキシマ(講談社/大和田秀樹)』をピックアップしてご紹介しよう。どうやら現在は「大和田秀樹ウィンター祭り」なる強化月間のようで、本作も単行本2巻&外伝が同時リリースという太っ腹な話だ。
早くもAmazonでは購入が困難になるなど、エラい人気のようで(書店では普通に入手できたが)。
それはそうと、ちょっぴり作品の概要をば。
主人公の月島は、巨大企業「大黒商事」の窓際部署・社史編纂室に勤めるグータラ社員。しかしそれは表の顔で、合法的に解決できない問題が発生した時に“あらゆる手段”を以て会社を守る切り札だった……というのが主な設定である。
まあ設定自体は決して斬新とはいえないが、なんせ作者は大和田秀樹。並大抵のアツさではない。
ひとたびトラブルが起きたら、地球の裏側でも直行。
相手がテロ組織だろうと麻薬カルテルだろうとお構いなし。
銃口を突きつけられても真顔で交渉。
致命傷クラスの深手を負っても任務続行。
圧倒的な腕力と精神力、人脈や根回し技能を持ちながら、最後の武器は「ビジネスマンの信義」
――と来たもんだ。もう大和田節がここに全開炸裂!って感じである。最近は『機動戦士ガンダムさん』などギャグ路線も人気だが、やはり全盛期の島本和彦すら凌駕せんとする漢(おとこ)っぷりが作者の真骨頂といえるだろう。
単行本1巻が出てから早くも3年あまり、これでもかと言わんばかりに濃厚な熱血テイストを詰め込んで登場した待望の第2巻だ。これが面白くないはずがない。
ちなみに同時発売された外伝タイトルは『野獣社員ツキシマ さらばインパラ』。本編にも登場した弱気なバイト君・槙原麻木男が主役を張っている。個人的にいえば、この手のスピンオフ物は過剰な期待をしない。たいてい本編より面白さが2ランクほど落ちるので、普段なら敬遠しているくらいだ。
が、やはり大和田閣下は外伝でも僕らを裏切らない。本編でのメインキャラをうまく脇に配置しながら、気弱なバイト少年の成長(?)を見事に描ききっている。普段は完璧超人の月島が、この外伝ではヘマをやらかしたり、着ぐるみ姿でネコダンスを踊ってみたり、いろいろ別の意味でも楽しませてくれる。
ともあれ総括すると、オススメ度は非常に高い。まず絶対に解決不能な難題を最初に出し、スーパー社員・月島が見事解決、そしてホロリとくる展開を最後に用意するなど、単なるギャグ漫画に終わらないところが魅力の逸品。
自分としては
『企業戦士ヤマザキ(集英社/富沢順)』
『内線893(講談社/山本康人)』
を合わせて“最強ビジネスマン三部作”とでも命名したい。
ところで思ったんだが。
この『ツキシマ』ってビジネスマンの新人研修教材に使えないかな?