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・ インタビュー

「話題の漫画をイッキに全巻まとめ買い!」

ドラマ化などで話題になったあの漫画を買いに行ったけど、なかなか全巻揃わない ――漫画ファンならそんな経験も一度や二度ではないはず。
そうしたなか、漫画を全巻まとめ買いできるサービス「漫画全巻ドットコム」が注目を浴びている。2006年のスタート直後から大きな話題をよび、今では海外からも注文が集まるというこのサービスはどのように始まったのか。どんな将来像を描いているのか。
今回は運営会社である株式会社TORICOを訪れ、取締役副社長の熊谷康(くまがい やすし)さんにお話を聞いてきた。

漫画全巻ドットコム



―― 「漫画全巻ドットコム」はどのようにして始まったのですか?

最初の着想は、私自身の経験でしたね。学生の頃から漫画が大好きだったのですが、いざ単行本を集めようと思ったらどこにも全巻揃ってない。ずっと歯がゆい思いをしてきたんです。
まだ当時、TORICOはオリジナルブランドのスニーカー販売が中心だったのですが、なにか別の物販を始めようと思ったときに浮かんできたのが学生時代の悔しい経験でした。「漫画を全巻セットにして読者の家へ届くようにしたい!」と。それが始まりでした。

―― 周囲からの応援や反対意見はありましたか?

知人などに意見を聞いたら、ほとんどが「そんなの絶対に売れないからやめておけ」といった反応でした。
それでも私は、自分と同じ価値観の漫画読者はかなりいると思っていました。まずやってみようということで、最初はたった40タイトルの漫画販売からスタートしました。

―― サービス開始してからの反響はどうでしたか?

私たちも驚くほど好調でした。開始した一ヶ月目には早くもスニーカーの売上げを抜いてしまい、翌月はその数倍……と凄い伸びでしたね。
売上げが良かったのはもちろんですが「ああ、やっぱり自分と価値観を共有している読者さんはこんなに多いんだ」と確信できたのは励みになりました。

―― 購入者で多いのは、やはり男性ですか?

実は購入者の約半数は女性ユーザーさんなんですよ。私たちも男性読者を想定してサービスを立ち上げましたので、これは嬉しい誤算でした。

―― 女性ユーザーには女性向けコミックが売れているのですか?

いいえ、女性の方でも男性向けの漫画をよく買っておられます。ドラマ化されたり話題になった漫画が一気に出たりしますね。
女性だと書店で全巻注文するのが気恥ずかしかったり、大量の本を家まで持って帰るのが腕力的に難しい。だから「注文すれば自宅に全巻届く」当社のサービスが受け入れられているのではないかと思っています。
ちなみに年齢層でいえば、男女とも三十代前後の方が多いです。

―― 「漫画全巻ドットコム」は広く読者に受け入れられていますが、逆に苦労した点はどこですか?

開始した当初は中古本を扱っていたのですが、やはり流通のほうでバックボーンがなかったので商品供給に苦労しました。話題になって注文が殺到した漫画でも、需要に追いつけないことがありました。
昨年からは新品本を扱うようになり、出版社サイドとのコネクションも強まりましたので多くの注文にも対応できるようになっています。常時扱っている漫画もおよそ1500タイトルまで増えました。

―― なにかおもしろいエピソードや企画はありましたか?

もともと漫画が好きなので、当初からユーザー視点に立って企画をいろいろ考えてきました。たとえばサービス開始当初は、漫画といっしょにジュースやスナック菓子も販売していたんですよ。ただ漫画を売って終わりじゃなく「漫画を読む生活」までフォローしたかったですので。

―― ジュースやお菓子ですか……。その企画は成功しましたか?

いやー、これは失敗しましたね(笑)。もう代金はいいから、漫画を購入したらもれなくジュースも入っているような形にもしてみました。でもお客様からしてみれば「あれ? 漫画を買ったはずなのにジュースが入ってるぞ!」ってなるじゃないですか。会社にお客様から問い合わせが来たり、なかなか思ったとおりの反響は得られませんでした。

―― 最近は他業種とのコラボレーション企画にも力を入れているようですが?

ええ。たとえば今年はピザーラさん、ぐるなびさんと組んで野球漫画『ROOKIES(ルーキーズ)』のタイアップキャンペーンを行ないました。漫画全巻ドットコムで『ルーキーズ』全巻を購入された方から抽選でピザーラの商品券が、逆にルーキーズのピザを注文した方から抽選で『ルーキーズ』全巻が当たるというキャンペーンです。ちょうどドラマ化のタイミングに合わせた企画ですね。
また、現在はオンラインゲーム会社のガンホーさん、WebMoneyさんと3社で『北斗の拳ONLINE』のキャンペーンを実施中です。抽選で『北斗の拳』全巻が当たるほか、オリジナルデザインのWebMoneyカードも当たるのでファンの方にはオススメです。
ほかにも当社だけの特典として『ブラック・ジャック』全巻購入された方に、ブラックジャック、ピノコのキューブリック人形をもれなくプレゼントしています。
どんなジャンルとでもコラボレーションしやすいのは、漫画というメディアがもつ魅力の1つだと思います。

―― 将来的なサービスの展望はどのようなものがありますか?

まず“電子コミック”の可能性をもっと引き出していきたいと考えています。紙に印刷された漫画の魅力も捨てがたいのですが、人によっては「場所をとる」「リアルタイムの雑誌連載と、単行本の間にはラグ(空白)が何話分かある」「注文から到着までのタイムラグがある」など不満に感じることもあるでしょう。そこをうまく電子コミックで埋めていけたら理想的ではないでしょうか。

―― 海外の“MANGA”ファンからも需要はありますか?

すでに海外の漫画愛好者からも当社へたくさんの注文が届いています。たとえ彼らが日本語を読めなくても、日本の漫画は芸術品・コレクターズアイテムとして価値を持っているということでしょう。
カタールのお客様が『ドラゴンボール』を購入されたり、あらためて漫画がワールドワイドな娯楽だと認識させられます。クラシック音楽が主題の『のだめカンタービレ』はヨーロッパの読者によく売れ、一方のアジア圏では『花より男子』のように身近な学園モノが受け入れられるなど、ご注文の傾向を見ているとお国柄が反映されていておもしろいです。

―― どうもありがとうございました。最後にこの記事を読んでいる人に向けてひと言お願いします。

皆さん、オトナになっても漫画は好きですか?
家に届いた箱を開けてみたら、すべて中身は漫画が入っていた。……そんなウキウキ感を提供するのも私たち「漫画全巻ドットコム」の役割です。
いま読みたい漫画、子供のころに好きだった漫画本をまとめて購入するのは、まさに大人になったからこそできる究極の贅沢だと思います。少年少女時代に置き忘れてきた十数年を、当時の漫画を読みながら思い出していただければ、それに勝る喜びはありません。
せっかく全巻まとめて手に入れたのなら、手元に食べ物やジュースを用意して一気に読んでみるのも楽しいでしょう。
まだご利用されていない方も、ぜひ一度「漫画全巻ドットコム」をお試しください!

(株)TORICO 取締役副社長 熊谷康さん
自身も漫画好きという(株)TORICO 取締役副社長の熊谷康さん。
「漫画全巻ドットコム」への想いを熱く語ってくれた

【関連URL】
漫画全巻ドットコム
株式会社TORICO
「北斗の拳ONLINE×漫画★全巻ドットコム×WebMoney」正式サービススタートキャンペーン

 
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「あなたの漫画レビューを買い取ります!」

漫画が好きな一般読者からレビューを買い取り、他人の書いたレビュー閲覧もできるサービス「ほんのきもち」が運営を開始して、この8月で1年を迎える。
ほかに類をみないユニークな試みは当初からマスコミにも取り上げられ、すでに登録レビュアーは3000人を突破した(2008年7月現在)。漫画ファンにはたまらない、この「ほんのきもち」はどのように生まれたのか。どんな人たちが運営に関わっているのか。
運営会社である春うららかな書房を訪ね、広報部長の原 生(はら しょう)さんにお話を聞いてきた。

漫画レビュー買取りサイト「ほんのきもち」

―― はじめに「ほんのきもち」が誕生したいきさつを教えてください。

私どもの会社「春うららかな書房」は全国のコミックレンタル店、複合カフェ(漫画喫茶)などに漫画、雑誌の卸しをしている会社です。

「ほんのきもち」が誕生したきっかけは、いつものように漫画喫茶を訪問している際のひらめきでした。たくさんの方が、漫画を一生懸命に読んでいる姿を見て“この方たちの頭の中にはさぞかし漫画の知識が詰まっているだろう”と感じたんですよ。この知識を何とかして外に出していただき、商品価値を持たせられないかと考えました。

社長もまじえたプロジェクトチームを作って1年以上の試行錯誤の末、思いついたのが「読者の生の声」を書棚のPOP(※注1)として活用するアイディアです。「ほんのきもち」というサイトを通じて読者の皆さんから漫画レビューを買い取り、店舗用のPOPに加工して一般書店、コミックレンタル店、漫画喫茶など漫画の書棚を持っている店舗に向けて販売しています。

―― 出回っている漫画の種類が多いというのも関係していますか?

はい。日本では現在約15万タイトルの漫画本が流通しています。このうち、一般的な規模の漫画喫茶、コミックレンタル店には1店舗に約2万冊(2000タイトル)が蔵書されています。しかし当社独自の調査によれば、このなかでよく手にとられて読まれている漫画本はたった1000タイトルにすぎません。

読者が「膨大な自分がまだ知らない漫画本の中から、自分の好みの漫画本を探す」のはとても難しい現状で、結果、内容が優れているにもかかわらず埋もれたままの作品が多くあります。

コミックレンタル店へ訪れるお客様の興味範囲をPOPで広げることで、最終的には、コミックレンタル店の売上増を支援することができるのではないかというアイディアが「ほんのきもち」誕生につながりました。

多くのコミックレンタル店の従業員は接客におわれ忙しく、また、漫画の発刊タイトル数が多すぎてアルバイト従業員も漫画本の内容をすべて知っているわけではないので、なかなかキャッチーなPOPが書けません。そのため、当社が代わりに漫画本紹介のPOPを作成することで、来店者の皆さんにより幅広い読書体験情報を提供できるようになればと考えました。

―― レビューを書く一般ユーザーさん、レビューを置く店舗さんの反響はどうでしたか?

想像以上に好評でびっくりしています。読者の方に投稿していただいたレビューから作ったPOPを当社では「ほんのPOP」と名付けているのですが、次のようなメリットがあります。

○ 漫画マニアの方は「ほんのPOP」により、ご自分の漫画に対する熱い想いをリアルな世界に伝えることができます。自分の感動を伝えることで幸福を感じていただけます。また、ご自分の頭に溜まっている膨大な漫画の知識をいつでも、どこからでもインターネットを使い簡単に販売できるようになりました。
知的財産(漫画のレビュー)を図書カードに交換 → 新しい漫画を購入 → また新しい漫画レビューを書けます!

○ 書店側も読者の生の声から作ったPOPにより、お客様が書棚から本を手に取る率が高まります。書店の場合は売り上げ向上に貢献しています。コミックレンタル店では漫画の回転率が高まり、膨大な漫画本の中に埋もれてしまっていた名作の掘り起こしが可能となりました。漫画喫茶の場合もより多くの漫画タイトルを読んで頂けるため滞在時間が延長します。

○ 店舗を訪れるお客様も、POPにより、自分がまだ知らない膨大な漫画本の中から、自分の好みの漫画本を探す作業が簡単にできるようになりました。

―― 「ほんのきもち」を運営していて嬉しかったこと、苦労した点はありましたか?

まず苦労といえるかどうかわかりませんが、お客様が時間をかけて丁寧に書いていただいたレビューを審査することには、ものすごく気を遣っています。素晴らしい文章でも図書カードを送ることができないときは、申し訳ない気がします。それでも“POPになった時に本の良い宣伝になるようなレビューを選んでいる”と割り切って審査を行なっています。

嬉しいのは「レビューを読んで漫画を読むきっかけになった」とお聞きした時ですね。審査やサービス運営に関しても、たくさんの励ましのお便りもいただいています。

―― なにか立ち上げ時や運営中におもしろいエピソードはありましたか?

漫画の名作をセットにして海外への販売を企画したことがあります。まず交渉のきっかけを作ろうと世界中の著名な映画監督やプロダクション約100箇所に、とある人気漫画を送ってみたんですよ。

日本語がわからない方のために英語で漫画レビューをつけました。サンプルとして漫画一冊と英文の漫画レビューの付いたPOP、面陳(※注2)アダプターをセットにしました。パッケージも日本らしい紅白の特注です。送料は全部当社の自腹です(笑)。

残念ながらすぐ興味を持たれたメディア関係者はいませんでしたが、ジョージ・ルーカス監督、スピルバーグ監督のスタジオやMGM(※注3)などから返信を頂戴しました。機会があればまたコンタクトをとってみたいですね。

それと面陳アダプターといえば、2008年のお正月にプレゼント企画を行ないました。「ほんのきもち」のレビュー投稿者から抽選で50名様に、ご自分の書かれたレビューを使ったPOPの付いた面陳アダプターをプレゼントしました。これは皆さまから大変喜んでいただき嬉しかったです。

LUCASFILM
ルーカス監督の秘書から届いた返信文。
ちゃんと「LUCASFILM」のロゴ入り

―― 将来にわたって「ほんのきもち」をどのように展開していきたいですか?

いまや“MANGA”は世界の共通語です。たとえば北米だけでも年間300億円以上の日本の漫画が英語に翻訳されて販売されています。「ほんのきもち」の英語版を公開して、日本が世界に誇る漫画文化の水先案内人として国の枠を超えて漫画の素晴らしさをアピールしたいと考えています。漫画を通じて国際貢献できたらこんな幸せなことはありません。

また、最近の日本のドラマの約80%が漫画を原作にして作られているそうです。
当社では「ほんのきもち」を通じて集めた読者の漫画レビュー、アンケートなどの情報を有効に活用して、漫画専門ネットリサーチ会社としてテレビ局、映画製作会社に活用していただくビジネスも始まりました。

これからは漫画のレビューだけでなく、CD、DVDなど音楽のレビューにも同じ仕組みを広げていきたいと考えています。「ほんのきもち」をモデルとして、映像、音楽などでも個人から知的財産を集めて、有効活用することに大きな可能性があると信じています。

―― どうもありがとうございました。最後にこの記事を読んでいる人に向けてひと言お願いします。

漫画喫茶・コミックレンタル店への来店者の読書の興味範囲をPOPで広げることで、店舗により差がありますが、漫画喫茶・コミックレンタル店の売上が上がることがこの1年で実証されました。

また、POPを表示することで来店者に漫画を手に取る率を上げることができるようになりました。今後も私どもは、過去の素晴らしい漫画作品を現代の若者にご紹介する漫画のマッチメイカーを目指してがんばります!

是非一度「ほんのきもち」に来て下さい。熱い漫画レビューをお待ちしております!

春うららかな書房 原生広報部長
広報部長の原氏。社内の本棚には漫画本がびっしり

【関連URL】
ほんのきもち
春うららかな書房
漫画レビュー買取りサイト“ほんのきもち”が本格オープン (ASCII.jp)

【本文中の注釈】
(※注1) 店舗の売り場で商品を直接アピールするための広告物。
(※注2) 本の表紙を前面に出し、目立つように陳列する方法。その台座が面陳アダプター。
(※注3) メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(Metro-Goldwyn-Mayer Inc.)。アメリカの大手マスメディア。

 
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