可憐で清楚で従順で――“メイド”のイメージが萌えの記号として定着してから数年が経つ。ツンデレからドジっ子、果ては大剣や重火器を振り回すメイドまで、もはやメイドという鉱脈はあらゆるメディアで掘り尽くされたように見えた。
が、そのどれにも属さないメイド漫画が現在人気をよんでいる。その名は『仮面のメイドガイ』。作者は赤衣丸歩郎、月刊ドラゴンエイジ誌上で好評連載中だ。
主人公の富士原なえかは剣道に青春を燃やす女子高生だが、実は本人も知らぬうちに大財閥(実家)の財産継承者候補となっていた。彼女が18歳になる前に継承権を奪おうとする輩が暗躍するなか、祖父の全十郎は護衛役として最強のメイドエージェントを送り込む。
先入観なくストーリーの骨子を見る限り、わりと普通の漫画に思えるだろう。しかしこの作品の凄いところは、
・メイドといっても美少女ではない
・少女でなく、女性ですらない
・メイド“ガイ”…すなわち男。いや、むしろ“漢”
・というより怪人。もはや人間核弾頭
なのである。
美人メイドのフブキさんと一緒に派遣されてきたのは、メイドガイ・コガラシ。見上げるほどの巨漢でマッチョ、サメのようにとがった歯に謎の仮面着用、申し訳程度にメイド服(下着はフンドシらしい)、ご主人であるなえかを“キサマ”呼ばわりし、「ククククク」と悪人じみた笑い声で嘲笑する。料理から格闘、学問、はては透視能力までなんでもアリなすさまじい能力を誇る。
なんというか、これまで先人たちが築き上げてきたメイドの理想像を180度どころか540度も覆す存在だ。
天に星 地に花 人に愛
そして貴様にメイドガイ!
登場時のこの口上が、コガラシというキャラの存在感をよく表わしている。
さて連載中の本編では、こんなコガラシを筆頭にドタバタ活劇が絶賛展開中。影の薄くなりかけたフブキさんはドジっ子メイドとしての地位を再確立し、他にも謎のメイド忍者軍団、コガラシに劣らぬ巨漢の怪物(♀)、巨乳にしか目がない外人教師、戦車を素手で投げ飛ばせるメイドさんをはじめ、軽く2ケタを超える人外魔境たちが暴れ回っている。
護衛対象を刺客から守るためとはいえ、なえかの服を奪ったまま地下牢に放り込むなど日常茶飯事なコガラシの暴走ご奉仕ぶりがどこまでエスカレートするのか、これからも注目したい。
また、本編の人気に後押しされる形で4月からアニメ版(全12話を予定)も放映中。よく勝手に原作をいじりすぎて不評を買うアニメ作品も多いが、本作は絵柄・基本設定ともかなり原作に忠実。ファンとしても納得のいく良作コメディアニメになっている。
美少女メイドとか美青年執事とか、もうステレオタイプな設定の漫画には飽きてきた――そんな人は未読ならば是非。新たなるメイドの地平が開けること請け合い(?)だ。
■作品データ 『仮面のメイドガイ』
・作者 :赤衣丸歩郎
・出版社 :富士見書房
・刊行状況:8巻まで(続刊)
■評点 - 『仮面のメイドガイ』
画力 :★★★★☆
物語 :★★★☆☆
独創性 :★★★★★
総合評価:★★★★☆
■関連サイト
・ドラゴンエイジ 公式サイト
・アニメ版 公式サイト

