よしながふみの『西洋骨董洋菓子店 ~アンティーク~』がTVアニメ化され、フジテレビ系列の深夜アニメ放送枠(通称:ノイタミナ枠)にて放映が開始される。
『西洋骨董洋菓子店』は、新書館発行のマンガ雑誌「Wings」にて、1999年から2002年にかけて連載された少女漫画である。
コミックスは全4巻で、累計発行部数は140万部を突破。2002年度第26回講談社漫画賞・少女部門を受賞している。
繊細な心理描写と人を引きこむストーリー展開で人気の高いよしながふみの代表作ともいえるこの作品。真夜中過ぎまで開いている怪しげな洋菓子店「アンティーク」に集う、ワケありの男性4人が織りなすドラマが、コメディをまじえながら巧みに描かれているのだ。
同じショットのコマを何度も重ねて作られる微妙な心の動き、そして同じセリフを何度も重ねて作られる微妙な間合いのギャグ…(外国人なのはともかく、あの赤いバラ…!)
2001年にはフジテレビ系で月9ドラマ化され、キャスティングは原作のイメージそのまま、ストーリーはかけ離れたオリジナル展開というギャップが、原作ファンの間で賛否両論を巻き起こした。
今回のTVアニメは原作に忠実に制作されているとのことで、ファンの期待も大きい。
声のキャストもさることながら、よしながマンガの密かな愉しみといえば、美味しそうな料理の数々。ことにケーキをメインにすえたストーリーとあって、大人の色気ただようケーキが、これでもかと画面に飛びかうこと間違いなしだ。
このおケーキさまさまをプロデュースするのが、日本人初の3つ星パティシエにして「Toshi Yoroizuka」のオーナーシェフ・鎧塚俊彦氏。氏の起用はよしながふみの希望だったとかで、コラボ企画がありはしないかと今から心待ちにしている甘党も多いだろう。
また『西洋骨董洋菓子店』は、韓国で実写映画化も決定している。
監督は「少女たちの遺言」のミン・ギュドン。出演は、ジニョク(橘圭一郎)役に「宮」「魔王」のチュ・ジフン。ソヌ(小野裕介)役にキム・ジェウク、キボム(神田エイジ)役にユ・アイン、スヨン(小早川千影)役にチェ・ジホ。
天才パティシエの設定は原作に忠実とのこと。
日本公開は未定だが、韓流『西洋骨董洋菓子店』も注目どころではないだろうか。
■TVアニメ概要■
【放送局】フジテレビ、関西テレビ、東海テレビ他
【放送開始予定日】2008年7月3日より、毎週木曜日24:45~
(※初回の7月3日は25:00~放映)
【スタッフ】
原作:よしながふみ「西洋骨董洋菓子店」(新書館刊)
監督:奥村よしあき
脚本:高橋ナツコ
キャラクターデザイン:内野明雄
美術監督:島村達雄(白組)
音響監督:早瀬博雪
アニメーション制作:日本アニメーション+白組
制作協力:シナジーSP
スイーツプロデュース:鎧塚俊彦(「Toshi Yoroizuka」オーナーシェフ)
OP&EDテーマ:CHEMISTRY「Life goes on」(デフスターレコーズ)
【キャスト】
「橘圭一郎」役:藤原啓治
「小野裕介」役:三木眞一郎
「神田エイジ」役:宮野真守
「小早川千影」役:花輪英司
少女マンガパワー! メイクアップ! (なんっちゃって)
平成20年7月19日~8月31日まで、京都国際マンガミュージアムにて特別展
「少女マンガパワー!-つよく・やさしく・うつくしく-」
が開催されます。(リンク先は京都国際マンガミュージアムwebサイト内の特別展ページ)
「北米9ヶ所を巡回し、日本の少女マンガの魅力を伝えた「Shojo Manga! Girl Power!」展を日本展用にリニューアルしたもので、新たな出展資料を多数追加しました。貴重な原画や、原画の色彩を忠実に再現した「原画´(ダッシュ)」、また作家の愛用品や作画風景の映像など合計300点以上の資料を展示いたします。 」
とのことで、国内でもすでに神奈川県・川崎市市民ミュージアム、新潟県・新津美術館などを巡回して好評を博しています。
私ことYuraは、神奈川県川崎市にある川崎市市民ミュージアムにて観覧してきました(現在はこちらの会場では終了しています)。会期最後の週末ということもあって、館内は大盛況。
「少女マンガ」というともちろん女性作家が主流ですが、かつては男性作家も数多く手がけていました。手塚治虫『リボンの騎士』はもちろん、石ノ森章太郎の初期の名作『竜神沼』、松本零士やちばてつやの作品なども展示されていて「あの作家も少女マンガを!?」とびっくり。
私自身は若いころに『花とゆめ』『lala』などに親しんでいたせいもあって、
「清水玲子とか、日渡早紀はないの!?」とか
「大御所で大島弓子はほしいでしょう!」とか、作家のセレクトについて「この人がいるのにあの人はないの?」という違和感を感じる部分もありました。
もちろんこれをご覧になっている人たちも含めて、100人いれば100通りの「少女マンガ観」とか「少女マンガ史」があるはず。
100%理想に合致したラインナップ、というのはありえませんし、萩尾望都、竹宮惠子、里中満智子、美内すずえなどの大御所はちゃんとおさえていたのでよかったでしょう。
ただ「少女マンガの歴史」はジェンダーなどを含めた「少女の歴史」と密接にリンクするものなので、いがらしゆみこ『キャンディ・キャンディ』や田村由美『BASARA』、武内直子『美少女戦士セーラームーン』などはぜひほしかったという欲はあります。このへんは難しいところもあるのでしょうね。
私を含めてノスタルジーで来場した人も多かったようで、展示されている絵の前で足を止め、
「この人のマンガ昔よく読んだよ」
と懐かしげに語る声がそこかしこで聞こえました。
原画やイラストの他にも作家の愛用の品やスケッチなどが展示されていて、できあがった作品を読むだけではわからない面を知ることもできました。おススメです。
京都国際マンガミュージアムでは会期中無休、また記念講演などのイベントも予定されているようですので、夏休みを利用して足を運んでみてはいかがでしょうか。
仕事で近くまで来たついでに秋葉原を巡回。いやー、この時期に及んでもクリスマスムードがほとんど皆無なのはさすがだ。聖夜を仕事オンリーで過ごす者として『独り者に優しい街・アキバ』という称号を贈りたい。
閑話休題。
そんなアキバで『戦う!セバスチャン(新書館/池田乾)』の最新刊をゲット。全方位の読者を対象にしたスラップスティックコメディだが、掲載誌がボーイズラブ誌というのが大きな特徴である。
さて内容はといえば、架空の街「フラン○フルト」にある大金持ちの邸宅が舞台。全身に凶器を隠し持つ超美形執事・セバスチャン(♂)を筆頭に
・IQ250なのに仕事をサボリまくる若旦那
・さわやか美青年だがリアルゲイのお抱えコック
・不死身、さらに脱皮までする謎の少女型クリーチャー
・一見常識人だが悪魔とも取引があるお隣の若旦那
・彼らの巻き添えで右往左往する使用人(一般人)
などなど……個性豊かな面々がドタバタ暴れ回る「だけ」の展開がミョーにハマる作品だ。別に強力なライバルが登場するわけでなく、世界に破滅の危機が訪れるわけでもない。ただノホホンとした日常の中でどこまで大騒ぎできるか。その極限に挑んだかのような作風。
部屋や調度類を壊すのは当たり前、時には屋敷の一角を吹き飛ばし、まれに屋敷全体が崩壊。屋敷の全員で花見に出かければ周囲一体が焦土と化すような、なんとも潔い暴れっぷりが魅力。それでも死人はいっさい出ず、日常が続いてゆく。まさに正統派コメディの教科書のような作品と言ってもいい。
ちなみに主役を務めるセバスチャンは、必要ならば自分の主人さえシバき倒すクールな鬼畜だが、登場する全キャラは自ら進んでセバスチャンをイジり、そして至福の表情でシバかれる。このセバスチャンに対する歪んだ愛情表現をほほえましく思えるようになれば、読者として合格だろう(←何の合格なのか)。絵が非常に巧いのもプラス要素。
いちおうボーイズラブ誌の掲載とはいえ、それっぽいシーンは作中にほぼ皆無なので安心して構わない。老若男女を問わず気軽に読める佳作として広くおすすめしたい。あとは腐女子の皆さんがウヨウヨしているBLコーナーから本を抜いてレジへ持って行く勇気さえあれば。
■rokuによる独断評価(5つ☆が満点)
画力 :☆☆☆☆☆
物語 :☆☆☆
独創性 :☆☆☆
総合評価:☆☆☆☆